【隼人side】
10人11脚を終え、座席に戻ったクラスメイトたちは、早くも総合優勝を確信していた。
「あとは、隼人と凌空のリレーにかかってるからな!頼んだぞ!」
「任せとけよ」
アンカーのプレッシャーはあるが、最低でも順位を落とさないようにすればいいだろう。
あとは、凌空がどれだけロケットスタートを切ってくれるか、だな。
凌空は……と見渡すけど、姿が見えない。
もうすぐ選抜リレーの招集時間なのに、どこ行ったんだ……?
そのとき、中村と手塚の姿が目に入り、そこに結良の姿もないことを確認してすぐに中村に声を掛けた。
「結良は?」
ふたり揃っていないってことは、実行委員の仕事かもしれないが。
なぜか焦りを感じて。
「水道に行ってくるって。そういえば遅いなあ……」
……違うのか。
余計に、胸がざわざわと騒ぎ出す。
通路は生徒だらけでごちゃごちゃしている。
目立つTシャツを頼りに小走りしていると。
ドンッ。
誰かの肩にぶつかった。
「隼人さんっ!」
野球部の後輩だった。