そこは10人11脚の練習場所で、今は休憩中なのかグループの子たちが楽しそうにワイワイお喋りしている。
その中に、花音ちゃんと隼人もいた。ふたりは隣あっている。
今までは、ふたりをただのクラスメイトとしか見てなかったから、気にならなかっただけかもしれない。
でも、あの話を聞いた今は……。
「やだあ、矢澤くんってば」
花音ちゃんが隼人の腕に触れ、満面の笑みを見せた。
───え。
思わず、眉が寄る。
クラスメイトなんだから、花音ちゃんが誰と喋ろうがそれは自由。
だけど、凌空のことで花音ちゃんがあたしに牽制をかけるから、極力自分から凌空の話はださないようにとか気を使っているのに、花音ちゃんは隼人にそういう態度で接するの?
それに。
美咲ちゃんの話がほんとなら、隼人は前に好きだった相手。
花音ちゃんの考えてることが分からないよ……。
なんとなくモヤモヤして、目を逸らす。
「凌空は?」
そう言えば、取り仕切ってくれるはずの凌空の声がさっきから聞こえない。
誰にともなく聞くと、忙しそうに手を動かしながら沙月が教えてくれた。