「またなんかあったらすぐに言えよ。結良はためこむのが悪いクセ」
いつもの笑顔に戻り、おでこを人指し指で軽く弾かれる。
「う、うん……。ありがとう……」
打ち明けてよかった。
苦しくてもその中で信じられる人がひとりでもいたら、明日からまた頑張れる力になるから。
大げさに聞こえるかもしれないけど、大げさじゃない。
高校なんて、ものすごくちっぽけな世界。
その世界の中で、友達関係がうまくいっていない"だけ"。でもそれは、世の中の終わりと感じるくらい、重要で大切なもの。
所詮、その世界しか生きる場所がなく、その世界しか今は知らないんだから……。
「でも……難しいのは女子だけじゃないよ……」
隼人がポツリとつぶやいた。
「えっ……?」
ふいに落とされた言葉に、隣の隼人を見上げる。
「3人は……難しい……」
感慨深く言って、少し悲しげに笑った隼人に。
「……」
……あたしは……分かってしまった。
隼人の指す3人、は……。
……隼人とあたしと凌空だ。
……もしかして隼人は。
揺れ動くあたしの気持ちに気づいている……?
「……」
そんな言葉を隼人に言わせてしまったことに罪の意識を感じ。
あたしは何も返せずに、ただ俯くだけだった。