「ふふっ、昔っから変わんないね」



そう言われて、悪い気はしない。


変わらないと言われることは、自分を良く知ってくれてる証拠だから。



"変わることを恐れるな"


いつか隼人に言った言葉。


……恐れてるのは、俺かもな……。



「花音ちゃんとは、順調なの?」


「……っ。ま、まあ……な」



ちょっと動揺した。


結良から手塚の話されんのはかなり心臓に悪い。


そんなことも知らず、結良はニコニコしながら言う。



「練習忙しいから、拗ねちゃったりしてない?」


「手塚が?結良じゃないんだから」


「あははー、そうだよね~」



つーか、手塚が拗ねるとか想像できねえし。


宣言どおり、手塚はいつも俺を笑顔にしてくれる。そして……癒される。



「野球に興味あるらしくて、色々教えてやってるよ。基本的なルールから、メンバーの話まで」


「そっ……か。安心した」


「夏の大会も見に来てくれるらしいし、選手の情報とか知ってた方が見てて楽しいと思ってさ」



共通で楽しめる会話があるっていうのはやっぱりいい。


心の中にはまだ結良がいるけど、手塚と一緒に居て楽しいのもウソじゃない。



「…………あ」



窓枠に肘をつきながら興味深々に聞いていた結良が、突然決まりの悪そうな顔をした。