「なのに、幼なじみとバーベキューやる時間はあるんだね」



花音ちゃんは面白くなさそうな顔をして、お弁当のおかずをつつく。



「あ、あの……」



そんな返しは夢にも思っていなくて、あたしはお弁当どころじゃなくなる。


花音ちゃんは、休む暇もない野球部員、凌空の彼女。


野球部の人と付き合うとデートは中々出来ない。


春季大会の帰り、確かにそんなニュアンスの会話をしたっけ。


花音ちゃんからすれば、少しでも時間が空いたら自分にあてて欲しいと思うのは当然だよね……。


沙月も、花音ちゃんのまさかの言葉に口をポカンと開けている。



「……そういうつもりじゃなかったんだけど……。ごめんね……」



あたしにとってはすごくうれしいことでも、花音ちゃんにとっては面白くないのは当然で、迂闊だったと思い謝る。


動揺を隠せずに、少し腰を浮かせながら。



「……あー、もしかしてそれってやきもち~?」



沙月が若干顔をひきつらせながらもフォローしてくれるけど。