「「「いただきまーーす」」」
3人声を揃えて割り箸を割って。
はふはふしながら焼きたてのお肉を頬張る。
「美味しいっ!」
「激うまっ!」
「サイコーだな」
隼人と凌空が焼いてくれたお肉は、いままでバーベキューで食べたどのお肉よりも美味しく感じた。
次から次へと網の上に手が伸びる。
「あっ、それ俺の肉!」
「凌空のはこっちにとってあるよ」
「なんだよこれ、焦げばっかりじゃねえか!」
「お前肉食いすぎなんだよ。シイタケでも食ってろ。ほらっ」
「わわっ、俺がシイタケ苦手なの知ってるだろ!」
「そうだったか?忘れたわ」
ただ、楽しかった。
いっぱい喋って思いっきり笑って。
出来ることなら、あのころに帰りたいと思った。
ずっと3人で居られると思っていたあの頃みたいに。
恋心なんて、誰も知らなかったあの頃みたいに……。
隼人も好き。
凌空も好き。
子供の頃の"好き"は、ふたりとも同じ大きさだったのに。
オトナになったら、ふたりに同じ"好き"をあげられないのはどうしてだろう。
ふたりとも、好きになれたらいいのに……。
ずっと、こうして居られたらいいのに……。
だけど。
戻れないからこそ、一瞬一瞬が大切なんだよね。
あたしはこの光景を瞳と心にしっかり焼き付ける。
きっと今日だって、大切で特別な一日で。
何年か経ったときに、戻りたくなるような日になれたらいいな。
そう願いながら。