青翔野球部を甲子園へ。
野球部に関われば関わるほどその想いは強くなった。
高校最後のこの夏のすべて、野球部員83人すべてに捧げたいと思う程に。
だからマネージャーとして、後悔の残る仕事はしたくない。
「はぁ~」
沙月は呆れたようにため息を吐くと、またギュッギュとその手に力を込めた。
「結良がそこまで言うなら応援するしかないね。小さいころからの夢の集大成なんだし。頑張れ、結良!」
肩もみならいつでも任せて!と言ってくれた沙月からのエールに、元気がみなぎって来たとき。
「沙月~!」
花音ちゃんがやって来て、沙月の腕を取った。
「もう行ける?早く行かないと席なくなっちゃう!」
かなり浮足立った様子の花音ちゃんは、沙月を急かす。
マネージャーになってから一緒に帰れなくなったあたしは、ふたりがどんな放課後を過ごしているのか知らない。
「どこか……行くの?」
ふたりになった今でも、カフェに行ったりしてるのかな?
特に気にしてなかったけど、目の前でそんなやり取りをされれば気になって、尋ねてみる。