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数日前のことだった。
『凌空くん……あの……』
部活に行こうとしていた俺を、手塚が呼び止めた。
『ん?』
手塚が同級生に呼び出しを受けたあの日から、LINEや電話でやり取りをするようになった。
これと言って何かを相談されたわけじゃないが、普通の友達のような会話。
野球に興味を持ったらしく、ルール説明や、青翔野球部ネタなど。
男女問わずダチは多いし、手塚もそのひとりって認識だった。
だけど、今日の手塚はなんだか様子がおかしい。
緊張した面持ちなのが俺にも伝わってきて。
『また呼び出されたのか?』
周りを気にしながら、手塚に近づき声を落とした。
だとしたら、今度はもっとビシッと言ってやらねえと。
『ううんっ、違うの……』
『……?』
『あのっ……。あたし凌空くんが、好きですっ……』