「なんで、急に手塚と……?」
「なんでって、コクられたから」
「コクられた?」
「んー。俺ってモテるからな~」
ヘラッと笑う凌空はまんざらでもなさそう。
でも俺は笑えない。
手塚が、凌空に……?
昔からモテて、今でもモテる要素を変わらず残してる凌空が女からコクられるのは不思議じゃないけど。
手塚は……。
───俺に告白してきたことがある。
1年のときに1回、2年の時に2回。結良と付き合い始めたあとも……。
手塚が苦手なのも、結良と手塚が仲良くしてるのが気がかりなのも、そんな過去があるからだったりもする。
手塚の気がいつまでも俺にあるなんて自惚れてないが。
結良と友達になっただけじゃなく、凌空に好意を持ったっていうのも、どこか引っかかるんだ……。
「なんだよ浮かない顔して。あ~、もしかして俺がモテるから嫉妬~~?」
黒いベルトを閉め、着替えが終了した凌空が調子に乗るから、
「……んなワケあるかよ」
笑って返す。
「んじゃ、先行ってるぞー」
「ああ」
凌空に彼女が出来るのは、俺にとって安心材料のはずなのに。
凌空と手塚の付き合いを、手放しに喜べない俺が居た。