「は!?」



俺がアンカー?



「なんで陸上部じゃないんだよ」



アンカーは、どの組も陸上部を出してくるのが慣例だ。


短距離のエースたちが、砂煙を上げながら疾走するラスト1周は圧巻。


自分の出番を終えた後、整わない呼吸のままそれを見るのが毎年の流れだった。



「校内一番人気の隼人がアンカー取ったら、それだけで盛り上がると思わねえ?」



盛り上がり重視か?



「女子の視線と声援を、赤組が一人占めできる!」



……あのなあ、正気かよ。



「それオイシイなあ!」


「うわー、女子から声援もらったら、それだけで俺10周できるわ!」



なんとも安直な提案に乗り気な、健全男子高校生。



「真剣勝負じゃないのか───」


「体育祭なんて所詮"祭"だもんな!」