「そうだな。目が覚めた」
立ち止まったり振り返ったりしてる暇なんてない。
わかってはいても、言葉にされると心が奮い立たった。
もう"迷言"だけの凌空じゃない。
それでも、やっぱり凌空の言葉に救われた気がした。
凌空に諭されたなんて言うのが悔しい俺は、顎を突き出した。
「生意気」
「知ってる」
そして、どちらからともなく手のひらをグーにしてぶつけ合う。
これは互いに"頑張ろうな"の合図。
「ほら、ミーティング始まるぞ!」
凌空に背中を押され、俺たちは目の前の輪に加わった。
ミーティングといっても、野球部のではない。
今日の放課後は、リレー選抜メンバーに招集がかかったのだ。
チームは全部で4つ。赤、青、白、黄。
俺は赤組で、2組と合同。
1年から3年までの計12人がひと組となって競う。
体育祭のトリで、一番盛り上がる種目だ。
色別にわかれ、陸上部の奴らが中心になって話を進める。
半分野球のことを考ながらなんとなく話し合いに参加していると、
「ってことで、隼人がアンカーな」
そんな声が聞こえて来た。