「青翔は簡単に入れる高校じゃないでしょ?凌空はアメリカで野球を続けながら、編入試験を受けるために必死で勉強を頑張ったみたいよ」
「……」
……凌空のバカ。
そんなの一言もいってなかったじゃん。
最後の夏っていう、最高のタイミングで帰って来たように思わせて。
家族もいない日本に。
たったひとりで。
野球をするために帰って来たなんて。
なんで言ってくれないの……っ!
「……結良?」
涙がポロポロ零れていた。
だって、だって……。
まだわかんないけど。
うぬぼれかもしれないけど。
もしかして、あの約束を果たそうと思ってくれてるとしたら……。
あたしの胸はまたかき乱されるよ。
隼人のこと、ちゃんと見るって決めたのに。
……新たな想いが生まれないように……って……。
必死で……抑えていたのに……。
簡単にあたしの心をさらおうとする凌空は…………ズルいよ……。