そこから、どうやって多目的室に行ったかはよく覚えていない。
――ガラッ。
委員会に遅刻した俺は一気に注目を浴びた。
部屋の中央で、結良が手招きしている。
……っ。
空席はそこしかなく、結良の隣の椅子を乱暴に引き腰を下ろした。
「部活行くんじゃなかったの?」
「……」
小声で耳打ちしてくる結良をまともに見れない。
隼人と付き合ってるって、マジなのかよ。
んなの一言も聞いてねえぞ。
……強気で問いかける心の声を声帯に乗せられない俺は、意気地ナシだ。
「はい、これ資料ね」
机の上に乗せられる資料。
心地いいはずの結良の声にさえ、耳を塞ぎたくなる。