「用意がいいね~。あたしも塗ってくるんだったなあ」
制服がまだ長袖だからって油断してた。
スタンドの照り返しはすごく危険だって知ってるのに、一番大事な顔がノーガード!
「あ~あ~、いよいよ日焼けの季節到来か~」
手をかざしながら恨めしく太陽を見る。
「結良ちゃん白いし、日焼けしても分かんないんじゃない?」
「ううん、毎年すごいの。これから7月まで、試合はほとんど応援に行くからスタンド焼けがひどくって」
「スタンド焼けって、なんかかっこいいね」
「かっこよくないよー。プール焼けの方が絶対にいい!」
去年も一昨年も野球で忙しく、隼人と一緒にプールすらいけなかった夏を思い出す。
「ふふっ、たしかに。でも、彼氏の応援なら幸せじゃない?」
「まあ、ね……」
日焼けしたとしても、隼人の野球を応援するのが夏の楽しみだからいいんだけどね。