結良の顔に、笑みが戻る。
「……うん。あたしも全力で応援するね。隼人が甲子園のダイヤモンドの真ん中に立つ姿、絶対に見たいから」
「さんきゅ」
右腕が壊れたって、この夏全力で投げ抜いてやる。
俺の投げる意味は、結良だから……。
「じゃ、おやすみ」
「うん、おやすみ……っていっても、隼人はこれから投げるんでしょ?」
「まあな。やらねえと気持ち悪いからな」
「無理しないでね」
「ああ、ありがとな」
ふわっと甘い香りのする結良の頭を優しく髪を撫でた。
結良、俺に力を貸してくれ。
俺を突き動かすのは結良の笑顔。
だから、夏までは俺の側に居てくれ……。
「これ、凌空にも渡しとくよ」
絨毯の上にころがった骨骨チップスをふたつ手に取ると、俺は結良の部屋をあとにした。