「床屋でいいっつーのに、美容院に行きやがった」
結良と一緒ってのが気に食わねえけど。
つーか。
凌空は幼なじみだろ。
こんなに俺、心の狭い人間だったか……?
「坊主にすんのに美容院!?金もったいねえなー」
県外から青翔へ引っ張られ、寮生活を送っている直哉は素っ頓狂な声をあげた。。
基本野球部員は仲間同士バリカンで刈り上げるのが普通。
美容院に行くなんて、とんでもなく贅沢だよな。
「だろ?あり得ないだろ?」
さすがアメリカサイズな感覚の凌空に笑いながら、俺たちは倉庫から大量の練習用具をグランドまで運ぶ。
準備からグラウンドの整備まで、全員が当番制で行う。
1軍も3軍も、1年も3年も関係ない。
今週は1軍が用具の準備。