【隼人side】
「今日は凌空来ねえの?」
グラウンドに姿を見せた俺に声を掛けてきたのは、キャッチャーの向井直哉(ムカイナオヤ)
ピンチのときは直哉の顔を見ると安心するくらい、包容力があって冷静な判断の出来る男。
部員からの信頼も絶大で、この大規模な野球部の主将を務めている。
「断髪して来るって」
「あぁ、そりゃそうだな」
凌空の頭を思い出しのか、直哉は大きくうなずきながら苦笑いした。
そんな直哉は、時速150キロにもうすぐ到達する俺の球を取る為に、体力や筋力をアップさせたりものすごい努力をしてくれた。
そのおかげで、俺は安心して投げられている。
今ではどんな球でも受け止めてくれる、なくてはならない俺の大切な相棒だ。