そう言われれば、やっぱり断る理由がなくなっちゃうんだけど。
チラリ、と隼人を見上げる。
ただのクラスの男子なら、こんなプランなしだと思う。
彼氏に断わりを入れて、美容院に付き合うなんて。
でも、凌空だから。
幼なじみだから……。
「ったく、しょうがねえな。結良、面倒だけどつき合ってやれ」
「えっ?う、うん……」
だ、だよね。
隼人だってそう思ってるから、普通なら危ういプランにOKを出すんだ。
……あたし、なにを意識してるの?
……どうかしてるよ……。
「よろしく~」
人の気も知らない凌空は調子よく言ったあと、あたしの髪を指差す。
「結良の髪が今日ストレートなのって、俺が言ったから?」
「えっ?」
「昨日言ったじゃん。黒髪のストレートが好きだって」
「……っ!」