「なっ、なんでもないよー。お腹すいたなーなんて、ははは」
笑ってごまかすあたしは、背中から変な汗をかいてる。
多分、手のひらにも。
……もちろん、つないだ方の手のひらにも。
「やっぱ結良は色気より食い気か!」
「そ、そうそうっ……!」
言われるまま頷いて、手を気持ち後ろ側にして足を速めた。
そして、家が見えてきた。
隼人はどのタイミングで手を離す……?
それともこのまま凌空に見せて、あたしたちがつき合ってるって言うの……?
隼人の動向が読めなくて、ひとりあせっていると。
あたしと隼人の家を挟んだ道路の真ん中まで来たところで、隼人は自然に手を離した。