「でもいいの。あたしも見てて楽しいし!」


「言ってくれたら椅子持ってきたのに」


「いーっていーって」



あたしは目の前で両手を振った。


こうやって気を使わせちゃうからイヤなの。

だからグラウンドから足が遠のくんだ。



「あたしはいいから練習戻って!」



今度こそ帰ろうとして『じゃあ』って言おうとしたとき。



「あと30分くらいで練習終わるからさ、一緒に帰らないか?」


「えっ……?」



突然の誘いに、あたしは戸惑いを隠せなかった。