「───結良?」
声を掛けられて驚いた。
……あ。
こっそり見ていたはずだったのに、隼人に見つかってしまったらしく。
バッティング練習に移っていた隼人が手を止めて、あたしに向かって走ってくる。
「へへ、バレちゃったか」
ふたりのキャッチボールがあまりにも懐かしすぎて、調子に乗って前に出ていた自覚はある。
「バレバレだし」
そう言ってはにかむ隼人は、練習中でもやっぱり爽やかだ。
流れる汗さえも、隼人をかっこよく見せる。
「凌空が見学するから、つき合えって言われちゃって」
「なんだよアイツ。勝手だなー」
隼人はそう言うと、あたしのことなんて忘れてのびのびしてプレーしている凌空に目を向ける。
凌空はこの短時間ですっかりメンバーとも打ち解けた様子。