県内屈指の野球の強豪、"青翔(セイショウ)学園"に通う隼人は、毎晩こうして投球練習や素振りを欠かさない。


だから、この音はもう生活音として耳に馴染んでいた。


隼人が投げ込んでいるのは、お父さんに作ってもらったという投球練習用のネット。


エースでありながら、打線の軸でもある隼人はバッティング練習もするため、庭中にネットが張り巡らされている。


庭は広いのに、家庭菜園も出来ないくらい完全に隼人仕様。


もう何年も使いこんでいるからあちこち痛んでいるけれど、修復を繰り返しながら大事に使っている。



「あっ」



ベッドに放り投げていたスマホが、ピンク色の光をチカチカ放っているのに気づいた。