サーシャはそう言うとすたすたと足早に酒場へと向かう。
リムは、サーシャが抱えていた酒をひょいと自分の手元へ運んだ。

「手伝うよ。重いだろ」

「いつもありがと。助かるわ」

リムが仕事が早く終わったときはこうやってサーシャの手伝いをしてくれていた。

リムはとても優しい。
リムのプロポーズを断っても変わらず、良くしてくれるリムにサーシャは嬉しい反面、戸惑いもあった。

酒場へ着き、カウンターに買ったものを置く。リムも酒をいつも常備している場所へと置いた。

「ありがとう、リム。もう後は一人で大丈夫よ」

「なにか困った事があったら、気兼ねなく言えよ。俺はずっとお前を助けてやるから」

「・・・・・」

サーシャは何も言わず、カウンター横にある小さな厨房へと姿を消す。
リムは切ない表情でサーシャを見つめた後、その場から立ち去った。

リムの気持ちは痛いほどサーシャには伝わっている。でもサーシャにはそれを受け入れる事が出来ない。

「ごめん・・・。リム」

ぼそりと、サーシャは呟いた。