サーシャの一日は、その日の酒場で使う食材や酒の調達から始まる。
なじみの店へ出向き、たわいのない会話をしながら品物を買っていく。

何件かある店の一つの店主と話をしていると、昨日の騎士の事であろうか、サーシャに話をしてきた。

「サーシャ見たかい?えらい立派な鎧を着けた騎士様を。身なりも顔も随分と綺麗で、あたしゃ久しぶりにどきりとしたねえ」

「見たもなにも、昨日うちの店に来たわよ。あまり話さない人だったけど。こんな小さい町に何しに来たのかしら」

「なんか、人探ししてるって隣の奥さんは言ってたよ。詳しくは聞かなかったけど」

「人探し・・ねえ。誰か犯罪人でも追ってるのかしら・・・。ここはまだ平和だけど、他の国では争いが耐えないっていうし。いずれにしろ、物騒ね」

サーシャは店主から物を受け取る。

「ありがとう。はい、これお金。おばさん、夜はしっかり戸締りね」

「サーシャも気をつけるんだよ。あんたはただでさえ綺麗なんだから」

「ははっ、お世辞どうもありがと。・・・まあでも、夜の仕事だし。何かあったらそれはもう運命として受け入れるしかないね」

どこか諦めたような、自分を悟ったようなそんな表情を浮べ、サーシャは店を後にする。
店主はそんなサーシャを心配そうに見つめている。