「ねえ、ディル」

「・・・なんだ?」

「どうして私を捜したの?」

「・・・君との約束を果たす為さ。小さい頃の、夢。お前と約束しただろう?」


・・・約束。
それはもう昔の幼かった頃の約束。

「まだ覚えていたの・・・。子供の頃のおままごとみたいな約束なのに」

「私は本気だったよ。必ず君を私の妻にすると。その為に城の騎士になったんだ。そして、その夢が今叶おうとしている。・・・違うか?」

闇の中でも、ディルがサーシャを見つめているのがわかる。
サーシャはその視線が耐えられなくなり、俯いてしまう。

「・・・無理よ。あなたの妻にはなれない。いくら私が1人に戻ったのだとしても。あなたを幸せにはできないわ。あなたも知らないのよ。私は・・・」

そこから先の言葉が出ないまま、また沈黙が流れる。
サーシャは俯きながら、瞳を閉じた。

そして、自分の過去を思い出していた。