蘇芳の容態が知りたい。

そわそわと珀斗の訪れを待つ小鳥の耳へ、隣の局にひかえる女房たちのさえずりが届く。

「聞きまして、赤の宮様が病を得られたとか」

「あの、活力そのもののようなお方が」

「お風邪を召されたという話も聞いたことがございませんのに」

「珍しいこともあるもの・・・」


結局その日、珀斗も他の皇子も訪れることはなく、日が落ちた。


そういえばと、夕餉をつつきながら思い返す。
一昨日から、蘇芳どころか誰かの訪いがあっただろうか。

珀斗が最後に来たのは、たしか一昨日。つまり蘇芳が病を得る直前ということか。

以来誰も姿を見せていない。小鳥にはなんの報せもない———気づいて愕然とする。


どうして———・?・・



翌日、小鳥はいてもたってもいられなくなり、珀斗の宿直所である稜綺殿(りょうきでん)に女房を遣わして文を届けさせた。

蘇芳の容態をたずね、朝政の後できれば常寧殿へお渡りを———という内容の文だ。