「ただいま!お母さん、あきくん連れてきたよ~!」

 玄関から聞こえてきた声。望亜よりも早く走って、玄関に行く。

 今日だけでいいから、ねーねにぎゅってしてほしい。

 いっぱいぎゅってしてほしい。

 望亜よりも、咲ちゃんよりも、1番になりたい。

「お邪魔します」

「あ、ともくん…っお?」

 ねーねにぎゅってして、どこかに行かないようにもっとぎゅってした。

 ねーねは、ぼくのだもん…。

「ともくん、ただいま」

「…おかえり」

「うん。あきくんにはなんて言うの?」

「こんにちは!」

「ん。久しぶりだな」

 あきら兄ちゃんはあたまをぽんぽんってしてくれた。

 ねーねもあきら兄ちゃんもぼくだけ見てた。

 だから、あきら兄ちゃんの手もぎゅってした。