中学3年の時に初めて同じクラスになった女の子。晴野蓬さん。

 どこか不思議な雰囲気を持っていて、気付けば目で追うことが多くなってた。

 彼女がどれだけ傷ついていたかなんて知りもせずに。

「なぁ、よもぎちゃんってキミだよね?」

 噂で聞いた。この子が嵐鬼とかかわりを持ってるって。

 この時、俺はどうしても嵐鬼に入るための方法が知りたくて、ズルだって分かっていても、聞かずにはいられなかった。

「…なんですか」

「俺、嵐鬼に入りたいって思ってんだ。なぁ、入り方教えてくんない?」

「…嫌です」

「やっぱそうだよな。…じゃあ、情報交換なんてどう?」

「…?情報交換、ですか」

「そう、俺は嵐鬼の入り方が知りたい。よもぎちゃんは何が知りたい?」

 賭けだった。
 もし、これに乗ってくれなかったら、最悪なことをしていたかもしれない。

 でも、よもぎちゃんはこの賭けに乗ってくれた。

 無理だろうって顔しながら。