「もしかして、聞いてたりしちゃいました?」

「…わりぃ」

「謝らないでください。…公園の中、入りませんか?」

 今帰って来たばかりのようなあきくんに、見られたくないところ見られちゃいましたね。

 ぎこちさを隠すように公園の中に足を踏み入れる。

 私とあきくん以外誰もない。静かな公園。

 ベンチのある公園の中央あたりまで来て、振り返る。あきくんは何を言っていいのか迷った様子のままでした。

「…あきくんと初めて会ったのここなんですよね」

「…正確には、晴野蓬に初めて会ったのはここってだけだけどな」

「私にとってはここが初です」

 不思議なこともあるもんです。あの時は、おばさんたちが強烈過ぎてあきくんのことを覚えている余裕もなかった。

 まさか高校で一緒のクラスなのに初めて隣の席になったのは10月。

 初めて話したのも10月なんて、本当に、あきくんが根気よく声をかけてくれなかったら今こうしているなんてなかったんだろうな。