2日後の卒業式。

 あきくんの姿はありませんでした。仲直りしようと思ったんですが…。来てくれなかったら仲直りのしようもないじゃないですか。

 メールや電話という手がないわけではないですが、それは最終手段です。もし返事がなかったら立ち直る自信がないので…。

 そんな状態なのに卒業式にもかかわずどんよりしています。うぅ、あきくん…。

「よもちゃん、死にそうな顔してるけど大丈夫?」

「え?…そんな顔してましたか」

 卒業式が終わり、昇降口付近で卒業生を待っている間。雷斗くんが心配そうな顔で声をかけてくれました。

 死にそうな顔って、私今酷い表情だということですよね…?

「保健室行く?」

「大丈夫です。ありがとう、雷斗くん」

「でも…」

「あ、卒業生出てきましたよ」

 丁度視界の隅に捉えた3年生の姿。そちらに視線を向けます。

 …周囲の女の子たち。いえ、ほぼ女の子ですが、その子たちの目が光った気がします…。

 櫻高校、部活がほぼ機能していません。

 よって、今ここで卒業生を待っている子たちは、最後に告白しようとか、何か形に残るものを渡そうとか、よくあらば先輩の制服のボタンを貰おうとか、考えている子たちの集まりなんです。

 そんな集まりに紛れ込んでいる私と雷斗くん。嫌な予感全開です。