急に雰囲気が一変した雷斗は、目の色を変えて殴りかかってくる。

 1発目は予想していたから楽にかわせた。だけど、2、3発目の追撃は予想外で、ギリギリのところでかわす。

 距離を取って様子を見れば、雷斗の目の色は変わらないままだった。

「…なんだよ。逃げてばっかか?」

 雷斗の視線が俺を射抜く。

 その目は完全に野生の獣が獲物を狩るような獰猛さを秘めていて、体中に緊張が走ったのが分かった。

 …地雷だったかもしんねぇな。

 自分の浅はかさを呪って、本気でやらなきゃいけないと悟る。

 ちょっと怒らせるつもりが、大部やばいところまで踏み込んでしまったらしい。

「…蓬にばれねぇ程度に食らっとくか」

 ああなったらどちらかが動けなくなるまでやめないはずだ。

 多少食らって、あとは気絶したふりで通す。