「こんなとこに呼び出してなにする気だよ」

「…白々しく聞くのやめろよ。分かってんだろ?」

 彼女の目を盗んで何とか連れ出したこいつは、余裕って顔で口角を上げる。

 そんな表情さえも俺をイラつかせるのには十分で、睨み付けた。

 学校の制服のまま、学校からほど近い空き地。

 校内でのケンカは法度。だから、殴り合いになったとしても先生の介入を受けないここに来た。

 俺の睨みが効いたのか、すっと秋空から余裕の笑みが消えて、代わりに出したのは鋭い気配だ。

 よもちゃんの前では絶対出さない、今にも殴りかかってきそうな獰猛な瞳。

「で、話ってなんだよ。雷斗」

「…分からないのか」

「…もし、俺が想像したものが答えなら、俺はお前を軽蔑する」

 秋空の鋭い目はやまない。むしろ、今のひと言で殺気が増した。

 ビリビリと空気が震えるような感覚。戦闘の前みたいだと沸き上がってきた興奮を押さえるとこもせず、口角を上げた。

 そもそも、なんで俺と秋空がこんな風に一触即発になってるのか。

 これは今日の昼休みに遡る。