あきくんは複雑な表情を浮かべたまま睨むかのように施設の建物を見つめる。

「…あきくん、無理に会う必要はないのかもしれません。でも、施設長が情報屋にお願いするほど、あなたを心配している。それだけでも覚えておいてください」

「…あぁ」

「それじゃあ、ちょっと挨拶してきます。だから、待っててくださいね?」

 あきくんに笑いかけて、施設の裏口から中から入る。ここからの方が施設長のお部屋が近いんです。

 さてと、そう言えば変装せずにお会いするのは初めてですが、おそらく察していると思うんですよね…。

 こっそりと施設長のお部屋を覗き込むと、施設長は何かを見つめていました。
 コンコンと窓ガラスをノックする。

 顔を上げた施設長に頭を下げると、施設長は慌てたように駆け寄って来てくれました。

「情報屋…さん?」

「はい。ご無沙汰しています」

「まぁ、どうぞ上がってください。回っていただいてもいいですか?」

 施設長が吐き出し窓の方へ案内してくれたので、失礼ながらそこから入らせていただきました。
 施設長は私が顔を見せたことにどこか嬉しそうにしてくださっています。