「あきくん!お誕生日おめでとうございます!」

「お…おう、サンキューな」

 家の前で待ってたら、出てきた瞬間に抱き着いてきた蓬は、ニコニコしてた。

 思わず驚いたけど、ぽんと頭を撫でれば嬉しそうにまた笑う。

 蓬の後から出てきたのは清牙さんで、思わず体が硬直する。娘が男に何のためらいもなく抱き着いてたらいい気はしねぇだろうし…。

 でも、清牙さんは苦笑するだけで俺を責めることはしなかった。

「蓬、遅れるぞ」

「あ、そうでした。お父さん、行ってきます!」

「いってらっしゃい。秋空くんも、頼んだよ」

「はい」

 自然と繋がれた手をそのままにして歩き出す。

 誕生日なのは蓬じゃないのに、蓬の方がずっと機嫌がよかった。