それが今は、どうだろう。

叔母(おば)夫婦は離婚し、いとことは疎遠に。


辻の母と叔母は、以前にも増し仲が悪くなり、正月でさえ親戚一同集まることはなくなってしまった。


明らかに、一族崩壊の有様である。


さながら、古き良き日本の文化や伝統が失われてきたように、親戚同士の絆まで失われてしまったように辻は感じていた。



彼は、お金で買えるなら、おばあちゃんがいたあの幸せだった頃に戻りたいと願う。


しかし、そんなことが叶わぬことは、分かっていた。


辻は、決心する。

自分がおいしいと思え、安全な野菜を作ろう!


それは、おばあちゃんが育ててきた畑を継ぐことだった。


辻は、そんなこと誰にも言われたことなどなかった。

もしかしたら、小さい頃からおばあちゃんのすこし丸まった背中を見て育った彼が、自然と受け継いだものなのかもしれない。


兄弟親戚姉妹仲良く助け合い、楽しく朗(ほが)らかに、地を両足で踏ん張って生きること。


そうすることが、いつも笑いが溢(あふ)れていた家族に戻れ、自分も幸せになれる気がしたのだった。






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