エイプリルフールだから、と思うと、なんだかするっと言えてしまう。


日向くんの聞き方が、至って普通で、「りんご好き?」とでも聞いているかのような爽やかさがあるせいだろうか。


日向くんはわたしの好意をどこか確信していたし、わたしはわたしの好意がすっかりばれてしまったことを確信していたのもあるかもしれない。


「左京さん左京さん、好きって言って」

「……好きだよ」

「こんな冷静な告白は聞いたことないよ」


むす、と頬杖をつく姿もかっこいい。


いやあの日向くん、実はですね、わたしも照れてるんですよ。分かりにくいけど。


「……耳は、赤いよ」


日向くんはこちらのうろつく視線を正面から見据え、目が合ってから、「俺も好きだよ」と切り出した。


「えっ」

「やっぱり分かってなかった」


そうじゃないかなとは思ったけどさ、とむくれている。


え、え? なんで。いつから。


「うそ」

「嘘じゃないよ。正午過ぎてるんだから、エイプリルフールはもう終わり」


とんとん、とスマホをタップした人差し指の先に、確かに12:01の表示がある。


「俺は左京さんと一緒に勉強したくて塾追っかけたし、志望校同じにしたし、隣座ったんですけど」


左京さんはぜえーんぜん気づいてなかったけどね。