「よし今だー! そこだ、今っ、卵を追加っ!」

「うるさい、落ち着いてくれないか」

「ってぎゃー! すり抜けたー!」

「だから落ち着け」

「わああ熱、くないんだったー!」

「ええいやかましい!」


怒った祓い屋さんが綺麗に卵を引っくり返した。


ちなみに、作っているのはわたしがリクエストしたオムレツだ。


確かにうるさかったので、反省してしょんぼりうなだれていると、祓い屋さんが苦笑。


離れようとしたわたしを呼びとめた。


「雪」

「……いたら迷惑になるもーん」

「いい。迷惑じゃないから、はいそこに立つ」


指差したのは、祓い屋さんの隣。


「いて欲しいって言ってるだろ。早く」

「……おうともよ!」

「よし」


甘えてるなあ、と思う。


勝手に押しかけて、勝手に騒いで、優しさにかこつけて隣を陣取る。


それでも、どうしようもなく居心地がよかった。