10月の休憩時間になった。


「奥野さん昨日は楽しかったですね」


「ああ~楽しかったね」


「奥野さんの歌最高でした!」


「工藤さんもノリノリだったじゃん」


白樺亭からカラオケに行ったってことね。


あたしは話に入れない
こんなときはさっさと飲み物を買って
帰るしかないね。


「また行きましょうね!」
先に工藤さんが帰っていった。


工藤さんが去るのが早いか
誠たち一行が来るのが早いか。


「お疲れさん」
職人さんと誠たちが来た。


「お疲れでーす」


「あっ!奥野さんちょっと」


と誠は奥野さんに声をかけ
あたしの腕をつかんで隅へと呼んだ。


「昨日は彼女を勝手に借りたから」


「はぁ?」


奥野さんはあたしを見た。


「晩飯食いに行った
回りから耳に入るとムカつくだろうから
直接伝えとくわ」


「ふーん そう・・・」


誠・・・何がしたいの?
そんなこと言っても奥野さんは
何とも思わないって!
だから今だって『あっ・・・そう』
みたいな対応じゃん。


「また誘ってもいいかな?」


「えっ・・・あ・・・どうぞ」


どうぞ???
仮にでもあたし彼女なんだよ。


そこは「どうぞ」はないよ!
「今度はオレも一緒に行きますから」
とか何とか言ってよね。