慰謝料という名の奥野さんとの
待ちに待ってた食事。


この前のような高級なお店を期待してたのに
なに???ここは。。。


大衆食堂


サラリーマンのおじさんだらけじゃん。


「ここのさ~鯖の塩焼きが旨いんだよぉ
それに肉じゃがとか~
一人暮らしのせいかお袋の味が恋しくなったら
よく来るんだ」


食べてみると確かに美味しいけれど・・・


あたしはレストランでフォークとナイフ
とか期待してた
図々しい女だと改めて実感する。


ーーーブッブッ


マナーモードにしている携帯のバイブする音が
聞こえてきた。


「奥野さん鳴ってるよ」


奥野さんは携帯を確認したが
「オレじゃないよ上野じゃない?」
「奥野さんじゃなかったらあたしだね」
と 鞄を見ると鳴っていた。


ディスプレイには番号だけ表示されていて
登録してない人からの電話だった。



「知らない番号だ!」
「ずっと鳴ってるから大事な用じゃない?」


一瞬 田舎にいる家族のことが浮かんだ
何かあって他の人があたしに知らせるために
掛けてる?事故?それとも病気?
それとも?


「ちょっと出てみるね」
とあたしは携帯だけをもって
大衆食堂の外へ出た。