でもその声は会場内の他の試合の
歓声でかき消された。


「おう!朱音!見てくれた?
オレのスリーポイント決めたの」


「あ・・・うん見たよ」


「君の彼女?」


誠が奥野さんに尋ねた。


「そーなんですっ!
常務さんが連れてこいって言ったから
連れてきたんですよ」


「あ・・・そう
ふーん 彼女ね・・・」


意味深な言い方をする誠。


「あっ!ドリンクとか雑用があったら
朱音を使ってください」


「へぇ~彼女を使っていいの?」


「いいっすよ!」


よくないよ!!!
何て事を言い出すのよ。


あっ・・・ホントの彼女じゃないから
どうでもいいのよね。


普通だったら『彼女を使ってください』
なんて言うわけないもの。


それでもあたしは
嫌な顔をしたらいけないと思って
ニコッとしていた。


「6番さん!始めまして
あたし 松木美也子です
よろしくね」


「松木?松木って
常務の?」


すぐに奥野さんは気づいたようだ。


「そうです娘です」


「へぇ~そぉ~う」


そのあとの奥野さんの気持ち
手に取るように分かる。


ーーーへぇ~ 可愛いじゃん
写真ではお笑い芸人だと思ってたけど
あれは別人だったんだ
この子ならウェルカム!ーーー


こりゃー!
またカップル成立か。。。


また呪文をかけるのかあたし。