「朱音お帰り!
あれ?浮かない顔をしてるねぇ」
「そう?」
「せっかく奥野さんとお出掛けだったのにさ
いいよねぇ~役得だよね」
「シッ!
誰が聞いてるかわかんない」
キョロキョロしてみたが誰もいなかった。
木戸恵夢(きどめぐむ)は社内で一番の友人
そしてあたしの気持ちを知ってるのだ。
「お前は対象外だよって言われちゃった」
「えっ!直に?」
「ううん 遠回しに
まぁ~次の恋を見つけるまで
好きでいさせてもらおうかな!なんてね」
「健気だね」
「もうかれこれ1年あまり
勝手に好きでいさせてもらってるからね」
「健気だね」
「もう!健気って言葉しか知らないの?
もっと慰めてよね」
「そうねぇ~慰めるには
お酒がないとね」
「はいはい 今晩
奢りますって!」
「やったぁ!じゃあ
後でね~」
どうせ今晩は一人で居たくないからね
奥野さんは彼女とディナーだと言ってたから。
恵夢はスキップで自分の部署へと帰っていった。