「ねぇ壱ぃ~、デートしようよぉ」


耳につくふざけたしゃべり方してんのは、メグミ。

彼氏としろよ。


「行かねぇ。彼氏いんだろ?オレを誘うなよ」

「なんでぇ?メグミの彼氏今日補習だもん」

「じゃあメグミも大人しく帰れよ」

「やだぁ。せっかくの高校生活なのに遊びまくれなくちゃ意味ないじゃん」


……おまえの高校生活は遊ぶためにあるのかよ。

って人の事言えねぇけど。


だってメグミじゃねぇけど遊んどかなきゃもったいないだろ。

どんどん遊ばなきゃ……


メグミを視界から追い出すように廊下を見ていたオレの目に、小林の姿が飛び込んできた。

肩からカバンを掛けてるところを見ると、早々と帰るんだろうな。

掃除も終わった教室にいる用もないだろうしな。

カバンからぶら下がる林檎うさぎがリズムよく揺れるのをぼーっと眺める。


鞄のキーホルダーまで林檎かよ。

小林はいつも直帰だよなぁ……あ?


.