あ、また1人でいるし。


美術の時間、小林を探すと、誰と戯れる事なく1人でスケッチブックに向かう小林を見つけた。


なんで友達作んねぇんだろ。

大体、オレの前では普通に話して普通に笑うのに、なんで教室じゃあんな無表情決め込んでんだ?

まるで誰も寄せ付けないようにしてるみたいに……


浮かんできた疑問に眉を潜めると、隣にいた岡田がオレの頭を小突いた。


「見つめすぎ。バレるぞ」

「……見てねぇし」

「嘘つくな」

「それより岡田。おまえ何描いてんだ?」


岡田のスケッチブックに書かれた芋虫みたいな物体に聞くと、岡田が自信満々に答えた。

「林檎だろぉが!今日の課題は林檎なんだからそれ以外何書くんだよ。

全く壱は美的センスがねぇな」

「あぁ、林檎を食いに来た芋虫か」

「林檎だって言ってんだろ!

見ろよ、この独創的な林檎!芸術だろ」

「自分で独創的って言っちゃってるし。

見たまま描けよ。誰もおまえにそんな芸術求めてねぇよ」

「せんせー!壱くんが僕の絵をバカにします!」

「あ、てめぇ……」


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