煮え切る訳でもなく、冷め切る訳でもなく。

そんな気持ちがオレの中でいつまでもくすぶっていた。


それは小林が出て行った後の1人の古文学習室でも、家の帰ってきてからも、ずっと……


罪悪感。

いや、それよりも何よりも、焦燥感と嫉妬がオレを支配していた。


高遠とオレの存在の大きさがどれくらい違うのか、小林の態度が語っていたから。


小林の中でのオレの存在価値は、きっとほぼゼロに近い。

高遠の存在価値は……きっと、誰を失っても手放したくないくらいデカイ。


それを目の当たりにして、ひどく気持ちが滅入っていた。


気持ちなんて不確かな、大きさなんか測れないモノが、今日確かに目に見えてしまって……どうしょうもない敗北感と嫉妬からくる苛立ち。

目まぐるしく変わる気持ちの波に、頭も心もオーバーヒートしそうな勢いだ。


.