だって、バラせば高遠との関係が終わるんだぞ?

それどころか、高遠は最悪懲戒免職だし、小林だって軽くて停学、重ければ……学校に居られなくなるかもしれないのに……


それの何がいいんだよ。


長い沈黙に何を考えていたのか、小林はずっと高遠の机を見つめていた。

こんなに近くに居て脅しまで掛けてるのに、オレなんか眼中にないように高遠の姿に想いを馳せる。


小林の瞳が、いない高遠を見つめてる。

いつも教壇を見つめるその目が一瞬、つらそうに細められた。


「……じゃあ行くから」

「え……あ、……」


感情を映していたはずの小林の瞳が、オレに向けられた瞬間、また冷たいものに変わる。

そしてそっけない言葉を残して、ドアに向かう。

そんな小林に、情けないオレはどこまでも情けないまま……何も言えずに小林の後ろ姿を見送った。


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