「見つけた……」


その声に振り向くと、そこには少し息を切らせた小林の姿があって……

気まずさに、オレは目を逸らす。


そんなオレにお構いなしに小林はオレの手を掴み歩き出す。


「あ? ……おい、小林?」

「とりあえず来て! ……もう逃がさないから」

「逃がさないって……」


強引な、らしくない小林に戸惑いながら辿り着いた場所は、いつもの階段。

相変わらずひっそりして人気のない階段。


そこに来て、小林はようやくオレの手を離した。

そしてオレを振り向くと、オレをじっと見つめて……


「昨日、待ってろって言ったじゃない。

殴られるから待ってろって……っ


あたし、待ってたのに……」


あぁ……それで怒ってんのか。

謝って欲しいからここまで連れてきて、逃がさないなんて……


それらしい理由を見つけて、オレは少し安心しながら謝罪する。


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