小林が嬉しそうに持っていく弁当が1つじゃない事は分かってた。
小林が高遠を見つめる時、切なそうな表情をするのも気付いてた。
だけど……オレの中で、その2つは合致していなかった。
……いや。
小林が弁当を持っていく相手が高遠だって事は、薄々感づいてたけど……
だけど、それは完全な小林の片思いであって、高遠がそんな小林の気持ちに応えるはずなんかないって……ずっとそう思ってた。
生徒と教師の恋愛なんか上手くいきっこないし、何より高遠が生徒になんか手を出すはずがない。
あの堅物の高遠が、そんなリスクのある恋愛をするはずがない。
ガッチガチに真面目なあの高遠が。
生徒同士の男女関係にだって下手したらいい顔しなそうな高遠が。
小林と……生徒と、恋人同士になるはずなんかない。
だから小林の気持ちを受け入れるはずないのに……
あるはずがないのに……
なのに、今2人はオレの目の前で笑ってる。
何が起こってんだ……?
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