「なぁ……好きな奴が付き合ってる男がすげぇいい奴だったらどうする?」


岡田との帰り道。

他に聞ける奴がいないとは言え、岡田に聞くなんて間違ってる気もするけど……


「好きな奴って……小林の彼氏っていい奴なのか?」

「いいから答えろよ」


岡田は「うーん」と数回唸って空を仰ぐ。

そりゃそうだ。

かなり難易度の高い問題だし。


そして悩んだ挙げ句に出した答えは……


「わかんねぇ」

「は? おまえ真面目に考えろよ」

「考えたよ」


岡田は表情を歪ませるオレに、珍しく真剣な表情を見せた。

夕日が岡田の表情を浮立たせて、穏やかな風が短髪の髪を揺らす。


「そん時の自分の気持ち次第だろ。

相手がいい奴だろうがなんだろうが、他の男には渡せないって思うのか……

それとも相手の幸せのために身を引くのか……

それはその立場にならなきゃわかんねぇよ。

今その立場に立ってないオレには答えられないだろ」

「……」


意外にも真面目な答えを返した岡田に、オレは黙り込む。


実際にその立場に立ったオレは……どっちを選ぶ?

本当なら……前者を選びたかった。

高遠から小林を奪ってオレだけのもんにしたいって、ずっと思ってた。


だけど……知ってしまった高遠の気持ち。


オレは……



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