「はあぁ………」


深いため息が、私の口から洩れた。



ああ、憂鬱だ………。


私は鏡の前で、どんよりと沈んだ自分の顔と見つめ合っている。


なぜかって、今から、とっても面倒で気乗りしない仕事をしなければならないから。


つまり、書類の催促だ。

締め切りを過ぎても書類を出してくれていない社員のもとに、直談判に行かなくてはならないのだ。


赤木さんと私で半々に分けてはいるけど、やっぱり気が重い。


特に、私の担当で一人、問題の社員―――会田さんという人がいて。

書類や手続きの催促に行くと、必ず、ものすごく迷惑そうな不機嫌な対応をされるのだ。


それが嫌すぎて、私は会田さんのところに行く前になると、ため息が抑えきれなくなってしまう。



「………でもまあ、嫌とか言ってられないしね。オシゴトですから、オシゴト。我慢も大事!」


私は頬をぺちぺちと叩いて、気合いを入れ直して化粧室を出た。