トラが「なんで泣くんだよ」と笑う。
私は「嬉し泣きって言うのよ」と泣き笑いながら答えた。
「………うん」
トラが小さくつぶやく。
それから、顔をおおっていた私の手首をそっとつかんで、開いた。
泣き顔が見られるのが恥ずかしくて、顔を背ける。
「こっち向いて」
トラが真剣な声で言ったので、私は照れくさいけど、目を戻す。
「なあ、うさ」
トラがゆったりと微笑んだ。
「身分違いの恋、する勇気はあるか?」
身分違いの恋。
まるで映画の中の言葉。
私は泣きながら噴き出した。
「あはは、自分で言っちゃうんだ!」
トラがにやりと笑う。
「だって、俺と付き合うってことは、ゆくゆくは社長の奥様だぞ?
大変だぞ?
まじでギスギスどろどろしてるぞー」
「ギスギスかあ、やだなあ」
私はそう言いながら、でも、口許に浮かぶ笑いは止められない。
本当に大変だろう。
由緒正しい婚約者をおしのけて、私みたいな一般人が大企業の次期社長の恋人になるのだ。
結婚なんて言い出したら、きっと、いろんな人から批判されたり、白い目で見られてしまうんだろう。
―――でも、トラと一緒なら大丈夫な気がする。
私とトラなら、どんなことでも、笑顔で乗りきれるような気がする。
それに、私にとっては、次期社長の奥様になる苦しさよりも、ずっとずっと、
大好きなトラと一緒にいられる楽しさのほうが、大事なことだから。
「………はい。
身分ちがいの恋、してみます」
手を挙げて宣言すると、トラがお腹を抱えて笑った。
*Fin.
私は「嬉し泣きって言うのよ」と泣き笑いながら答えた。
「………うん」
トラが小さくつぶやく。
それから、顔をおおっていた私の手首をそっとつかんで、開いた。
泣き顔が見られるのが恥ずかしくて、顔を背ける。
「こっち向いて」
トラが真剣な声で言ったので、私は照れくさいけど、目を戻す。
「なあ、うさ」
トラがゆったりと微笑んだ。
「身分違いの恋、する勇気はあるか?」
身分違いの恋。
まるで映画の中の言葉。
私は泣きながら噴き出した。
「あはは、自分で言っちゃうんだ!」
トラがにやりと笑う。
「だって、俺と付き合うってことは、ゆくゆくは社長の奥様だぞ?
大変だぞ?
まじでギスギスどろどろしてるぞー」
「ギスギスかあ、やだなあ」
私はそう言いながら、でも、口許に浮かぶ笑いは止められない。
本当に大変だろう。
由緒正しい婚約者をおしのけて、私みたいな一般人が大企業の次期社長の恋人になるのだ。
結婚なんて言い出したら、きっと、いろんな人から批判されたり、白い目で見られてしまうんだろう。
―――でも、トラと一緒なら大丈夫な気がする。
私とトラなら、どんなことでも、笑顔で乗りきれるような気がする。
それに、私にとっては、次期社長の奥様になる苦しさよりも、ずっとずっと、
大好きなトラと一緒にいられる楽しさのほうが、大事なことだから。
「………はい。
身分ちがいの恋、してみます」
手を挙げて宣言すると、トラがお腹を抱えて笑った。
*Fin.



